毎日何気なく過ごしている家の中。
朝起きて、リビングで朝食をとり、家族で過ごして、夜は寝室へ。
その間、私たちはずっと家の中の「空気」を吸って暮らしています。
家づくりというと、間取りやデザイン、収納、キッチンなどに目が向きがちですが、実は暮らし始めてからの心地よさに大きく関わっているのが「換気」です。

最近は「高気密・高断熱」という言葉もよく聞くようになりました。では、気密性の高い家では、空気はどのように入れ替わっているのでしょうか?
今回は目には見えない、住まいの「空気の流れ」について考えてみたいと思います。
目次
1.窓を開けるだけが「換気」ではありません
「換気」と聞くと、窓を開けて風を通す様子をイメージする方も多いのではないでしょうか。
もちろん、天気のいい日に窓を開けて風を入れるのは気持ちのいいものです。
ただ、私たちが暮らしている室内では、人の呼吸による二酸化炭素をはじめ、料理のにおい、湿気、ホコリなど、生活しているだけでさまざまなものが発生しています。
一日中窓を開けておくわけにもいきませんし、夏や冬はせっかく冷暖房した空気まで外へ逃げてしまいます。
そこで大切になるのが、24時間、計画的に室内の空気を入れ替える換気システムです。

外から新しい空気を取り込み、室内の空気を外へ排出する。
一見シンプルですが、
「どこから空気を入れるのか」「家の中をどう通すのか」「どこから排出するのか」
によって、住まいの空気環境は変わってきます。
2.高気密な家ほど「空気の通り道」が大切
「気密性が高いと、空気がこもるのでは?」そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、高気密住宅で大切なのは、家を密閉して空気を動かさないことではありません。
むしろ、余計なすき間をできるだけ減らすことで、給気口から空気を取り入れ、計画した場所から排気するという“空気の通り道”をつくりやすくなります。

すき間の多い家では、外の空気がどこから入ってくるのか分かりにくく、せっかく換気設備を動かしても計画通りに空気が流れないことがあります。
だからこそ、断熱する。気密を高める。そして、きちんと換気する。
この3つは別々ではなく、一緒に考えていくことが大切なのです。
3.自然の力も利用する換気「DSDD」
マスノホームズがこれまで採用してきた換気システムのひとつに、「DSDD」があります。
DSDDは、地中の温度を利用しながら換気を行う、第三種熱交換型の24時間換気システムです。

特徴的なのは、外から取り込んだ空気を、そのまますぐ室内へ入れるのではないこと。
外気はまず給気フィルターを通り、床下へと取り込まれます。
地面の中は、外気に比べて一年を通して温度変化が比較的小さいため、その性質を利用して、床下を通る空気への外気温の影響をやわらげてから室内へ給気します。


例えば寒い冬。
外の冷たい空気がそのまま室内へ入り続ければ、暖房で暖めた室温を下げる原因になります。そこで、自然に存在する地中の熱を利用しながら空気を取り入れる。
設備の力だけに頼るのではなく、自然のエネルギーを上手に利用しながら、換気と快適性の両立を考えた仕組みなのです。
4.ポイントは「どこから空気を出すか」
DSDDには、もうひとつ特徴があります。
それが「床面排気」です。

一般的に室内の空気というと、部屋全体に均一に存在しているように感じますよね。でも暮らしていると、ホコリやハウスダストなどは少しずつ床付近へ落ちてきます。
そして床に近い場所といえば、小さなお子さまがハイハイしたり、家族がラグの上に座ったり、ペットが過ごしたり。

意外と私たちの暮らしとの距離が近い場所でもあります。DSDDでは、排気口を床付近に設けることで、床付近の空気を計画的に排出していきます。
「換気量はどれくらいか」ということだけでなく、“どこから新しい空気を入れて、どこから汚れた空気を出していくか”まで考える。
これも換気計画の大切なポイントです。
5.快適な家は「見えない部分」でつくられている
家づくりでは、「このキッチンが好き」「無垢の床にしたい」「こんな間取りにしたい」といった目に見える部分は、とても想像しやすいですよね。
でも実際に暮らし始めると、毎日感じる心地よさを支えているのは、それだけではありません。
夏の暑さや冬の寒さをやわらげる断熱性能。冷暖房した空気を逃がしにくくする気密性能。そして、室内の空気を計画的に入れ替える換気。
こうした完成するとほとんど見えなくなってしまう部分が、日々の暮らしを支えています。

住宅性能というとUA値やC値といった数字に注目しがちですが、その数字が最終目的ではありません。
大切なのは、その家で暮らす家族が、「冬の朝も過ごしやすい」「家の中の空気が心地いい」「一年を通して快適に過ごせる」と感じられることだと私たちは考えています。
まとめ|「空気」から家づくりを考えてみる
私たちは一日に何度も呼吸をします。だからこそ、これから家を建てるなら、間取りやデザインと一緒に、「この家の空気は、どこから入って、どこを通り、どこへ出ていくんだろう?」そんなことにも少し目を向けてみてはいかがでしょうか。
普段は見えない換気の仕組みですが、知ってみると家づくりを見る目が少し変わるかもしれません。

今回ご紹介したDSDDも、マスノホームズがこれまで「家族が長く、快適に暮らせる住まいとは何か」を考える中で取り入れてきた仕組みのひとつです。
家は、完成したときだけ快適であればいいものではありません。
5年後、10年後、そしてその先も。
これからも「長く心地よく暮らす」という視点から、住まいの性能や空気環境について少しずつお伝えしていきたいと思います。