住んでいた祖母のマンションを出ることを決め、40歳という節目に家づくりを決意したKさん。今の等身大の暮らし方、かつ先まで見据えた1人暮らしならではの心地よさを追求し、「全館暖房の家」を選びました。無駄を省き、こだわり抜いた自然素材と好きなものに囲まれたオンリーワンな家は、穏やかな空気と心地よさに包まれています。
部屋数は必要最低限。ゆとり重視の贅沢な間取り
――リビングを2階に、しかも1フロア使っているのですごく解放感がありますね。
K様:一番に希望したのが2階をリビングにしたいということだったんです。リビングにいる時間がほとんどだと思ったので、その空間にこだわりたくて。2階の方が明るくて、車の音も遠いし、人目も届かない。もともと希望した土地より狭い面積になったので、狭さや窮屈感を感じたくないなと思って、壁を作らず1部屋にしてしまいました。ロフト下の空間はよく「このスペースで何かできるのに」と言われますが、そこは「ゆとり」だと思っています
――どこも解放感があるのは、部屋数がないせいでしょうか。
K様:そうですね。部屋はリビングと寝室のみ。区切ると狭くなるので小部屋はいらなかったんです。建売住宅も見学したんですが、小部屋がたくさんあることが多くて、それをなくす代わりに空間を広く取りました。でもこれは家族がいないからできることでもありますよね。何より1人で全部決められるので、打ち合わせもスムーズでした。自分の好きなイメージをいろんなところに当てはめていけるのは1人で建てた醍醐味ではないでしょうか。
――では基本的に2部屋のどちらかにいるんですね。どんな風に過ごされていますか?
K様:もっと寝室にいるかなと思ったんですけど、ほぼ9割くらいリビングですね。広いし明るいし、テレビもある。テレビが好きなので、ソファに座ってサイドテーブルに飲み物を置いてテレビを見ながら寛ぐのがお気に入りの時間です。
自然素材とライフスタイルに寄り添ったデザイン
――素材選びや仕上げ、造作部分のデザインはどのように決められましたか?
K様:もともと自然素材が好きで、3年前に姉が建てた無垢材の家がすごく羨ましかったんです。なので、最初から自然素材で心地よく暮らせる家を建ててくれる工務店を探して辿り着きました。これまでの実績から信頼もしていたので、無垢材を使って欲しい、ロフトが欲しいといった要望を少し話したら色々と提案してもらえました。例えば食器棚を造作してもらった時には、背が低いので上には作らないようにしてもらいました。
――迷った部分はありましたか? 誰かに相談したりはされたんでしょうか。
K様:姉の家と敷地面積はほぼ同じだったので、姉から「収納はここにはこんなにいらない」「食器棚うちので●メートルだからこのぐらいまで来る」とアドバイスしてもらえて想像がつきやすかったです。でも洗面台のタイルはすっごく悩みました。いろんな写真を見たりしてマスノさんにも相談したんですが、いまいち決めきれない。色だけでなく形もいっぱいあって、最終的に選びきれず「2種類使いたい」って言うと「どうぞ」って。結果的にとてもいい感じになりました。
――インテリアも含めて色合いが統一されているんすね。
K様:全体的にあまり暗めの色を入れると部屋が暗い印象になるので、極力明るい色を、でも原色はしんどいなと、いろいろ考えました。リビングで言うと、ソファもライトグレーを買うつもりだったので色合わせをしたくて、白以外に用いるのはグレーにしてもらいましたね。自分の「こうしてほしいな」を相談して、今ほとんどその形になっているので満足です。
フリースも靴下もいらない冬に感動!
――全館暖房の家を選ばれたのはどうしてでしょう。
K様:マンションにいたときは本当に寒くて、冬は二重で靴下を履いてました。今は1階にあるエアコンをごく普通の温度で動かすだけで、冬場は家全体が本当に暖かい。フリースは着なくなりましたし、冬でも基本裸足です。下ももちろん暖かいんですけど「暖気って上に上がるんだ」っていうのがわかるくらい階段を上がると暖かさを感じます。だから、さらにリビングばっかりいるようになりましたね。特に夏よりも冬の方が恩恵を受けています。住んで1年経ちますが、姉たちもすごく気に入ってくれて、実家に帰ってきたら必ずここに来るんです。散歩ついでに来て、テレビ見ながらひと眠りしていくといった感じで。私自身も以前よりすぐ仕事から帰るようになりましたね。残業になってもすぐ切り上げて帰る。常に家にいたいくらいです(笑)。
穏やな時間に浸る幸せに包まれて
――家を建てたいという願望は以前からお持ちだったんですか?
K様:そういうわけではないんですが、基本は「家が好き」から入っていますね。小さい頃から新聞折り込みのチラシを毎週眺めている子だったので、姉妹からしたら「やっぱりな」だったそうです。
でも、本当に住み心地がすごくいいので、家にいる時間の幸福感が大きい。すごく穏やかな気分になれるので、建ててマイナスなことがまったくありません。なんだったらもうちょっと早く決断してもよかったなと思うくらいです。とはいえすごく大きな買い物。40歳になったからタイミング的にできた決断でした。そして、建てるなら「住めたらいいわ」ではなく、よりかわいく、より自分好みにを突き詰めたのがよかったです。消去法で「あれはいらない、これもいらない」と削除して、寝室とリビングだけが残ったわけですが、もっと若ければ「念のためもう一部屋」と無駄に作ったかもしれないし、もう少し原色の選択肢もあったかもしれません。部屋数よりもゆとりある空間がほしいという年齢と環境になったということでしょうか。でも、もし足したくなったら、その時に足せばいいと思っています。