「スッキリしたいのに、いつの間にかものが増えて…」
なんて言葉、口にしたことありませんか?
「収納」は常に住まいの悩みの上位をキープする常連ワード。「◯◯収納の上手な使い方」「△△さん直伝! リバウンドしない収納術」なんて言葉が雑誌やテレビでも頻繁に見かけるほど。家を建てる時にもやはり気になるポイントなのではないでしょうか。
収納といってもどんなものがあり、どう作ればいいのか。今回はそんなお悩みのヒントにしてほしい“収納”のお話です。
目次
1.必要なのはどんな収納ですか?
考えるてみると、収納したいものって家中のあらゆるところにありますよね。
賃貸物件などに住んでいると、その家や部屋に付随する収納に生活を合わせ、必要に応じて収納アイテムで補足しているというのが一般的。
でも、逆にライフスタイルに合わせて一から自分で考えることができるのが注文住宅の良さというもの。予算とも相談しながら、理想の収納計画を立てていくのは楽しいものです。
いわゆる押し入れ以外にクローゼットやウォークインクローゼット、シューズインクローク、パントリー、カップボード、その他さまざまなものを収納できる納戸や階段下収納、屋根裏収納など、あると便利なさまざまな収納スタイルがあります。
でも「とにかくたくさんあればいい」ではなく、必要な収納を見極めることが重要です。ご自身の、そしてご家族のライフスタイルにあうのは一体どんな収納でしょうか?
2.まずはイメージすることから
では、どういうふうに収納計画を進めればいいのかというと、まずはイメージすることから始めてみてください。
新しい暮らしの中で、これまでに使ってきた愛用のもの、新たに使い始めるもの、どれくらいの「もの」に囲まれて、どういう生活をしていくのか。まずは必要なものの洗い出しから始めてみるんです。
それができたら、基本的にそれを収めるために必要な収納量と場所を考えます。
生活していく中で増えることも想定しますが、本当に必要なのか、余分ではないか。基本的な暮らし方とものの必要量も同時に考えると収納スペースも自ずと見えてくるはずです。
例えばリビング環境に収納が欲しいなとなった時、何を入れたいのかと考えると、掃除道具であったり、日用品を隠しておきたいであったりしますよね。しまうものがわかると「これなら半畳ぐらいのスペースで大体のことは事足りるな」という風に試算ができてきます。ものは適材適所に収納することが重要。もし半畳分の収納スペースで足りないようなら、もう少し小さい収納を追加したり、キッチンの腰壁の前面に扉をつけて収納棚を作ってもいいと思います。実際に暮らした時の動線もあわせて考えながら、どこに何があるといいのか、想像を巡らせてみてください。
3.例えばこんな空間には
3-1.キッチン
キッチン空間は背面をどう生かすかが肝。カップボードを造作で作るのであれば、ポイント引き出しではないかと思っています。特にメインとなる上2段は食器やカトラリーなどを取り出しやすい深さで計画しておくと、実際に使い始めてからの使い勝手が格段に変わります。
また奥行きも結構大事なポイントです。カップボードの奥行きを増やすと一段あたりの収納量を増やすことだけでなく作業台としての活用の仕方にも関わってきます。50cm以下になるとオーブンレンジを置くだけでスペースがなくなるため、できれば50cm以上、可能であれば60cm程度の奥行きが取れれば作業効率がアップします。また奥行きでいうと、キッチンから背面までの空間を通常より広めの1mほどとっておくと、2人で作業する広さが確保できるので、すれ違いのストレスも解消されますよ。
ちなみに2列または3列分の収納がカップボードに確保できたら、思っている以上にものは入ります。パントリーはその補足的な存在。ついつい広いパントリーを作りたくなる気持ちはわかりますが、乾物やドリンクなどを保存する場所として使うには、そこまで広くなくてもいいというのが実際のところです。ただ、パントリーの生きるケースもあります。
例えば共働きで通常の冷凍・冷蔵庫に加えてミニ冷凍庫を設置する場合があります。こういった場合はパントリーがあると空間的に便利。ただ、一般的な冷蔵庫と違いサイズがさまざまなタイプがあるため、用途や交換のことを考えた冷凍庫のサイズ選びをおすすめします。
3-2.洗面・ランドリールーム
洗面脱衣室とランドリールームを一体化するケースも最近増えています。
洗面室を少し広めにとって、洗濯機と共にハンガーパイプで物干しスペースを作り、すぐにたたんでしまえる棚が一緒になった無駄のない動線が人気の理由です。
奥行きの浅い衣装ケースなどを準備すれば、下着などの細かい衣類も入れられ、見た目にもすっきりできますし、可動棚にすれば、必要に応じた高さの調節もできます。オープンな棚が気になる場合は、人が来たときロールカーテンを下ろすようにしておくといいかもしれません。
3-3.階段下
デッドスペースの活用として定番の階段下収納。ここを押し入れのような収納にするのはやや危険が伴います。というのも、当然ながら1段目に近づいていくに従って空間が狭くなるため、掃除が大変という面です。奥行きもあるため、ものを奥へ奥へと押し込んでしまい、結果的に埃まみれにしてしまうのはあまりいい使い方ではありません。どうせならその空間を生きたものにするために、オープンな空間として活用してはいかがでしょうか。
またこの空間をペットのケージとしてうまく生かした例もあります。必要に応じた使い方次第で生きる空間だからこそ、上手な活用を考えたいものです。
4.デメリットにも目を向けてみる
他にもしっかり考えてほしい収納についてご紹介します。
例えばリビングに小上がりの畳空間を作って下を引き出しにするというのも、収納を増やす1つの方法ですが、取り出しがしにくいという難点があります。奥行きのある空間になる低い位置にあるため腰をかがめて出し入れをしなくてはいけないこと、そして何より出し入れのスペースに注意しないと結果的に「開かずの箱」になってしまうこと。小上がり自体は腰掛けたりもできていい空間。ですが、その下を収納にするには当然費用のかかることなので、慎重に考えてみることをおすすめします。
そしてもう1つ、慎重に考えてみてもらいたいのは履き物だけでなく玄関先の多様なものをしまえるシューズインクロークです。確かにたくさんのものが入って便利なのですが、玄関先から丸見えになりがちというリスクも持ち合わせています。生活感を見せたくないようなら、隠すためにロールカーテンをつけるよりも、すぐ曲がったところにちゃんと収納を作った方がすっきり見えるかもしれません。
とはいえ、これも全てケースバイケース。例えばお子さんが3人いて使い勝手を優先したいという場合だってあると思います。小上がりの引き出し収納にせよ、シューズインクロークにせよ、それがNGなわけではなく、答えは1家族ごとに違って当たり前。ご自身のライフスタイルや家族構成からぴったりな収納スタイルを見つけ出してください。
5.まとめ. 必要に応じたカスタマイズを
注文住宅の良さは、収納もカスタマイズできること。棚の奥行き、何列にするのか、作業しやすい高さや広さを考えて造ることができます。だからこそ、しっかりとこだわりを持って、家の計画段階から必要量を考えてみるのが失敗しない収納の秘訣。どうせならより暮らしの精度を高めるために、家族や暮らし方にベストな収納を考えてみてください。イメージがうまくつかめない、という場合はぜひご相談を。それぞれの新たな暮らしをサポートいたします。